サービスのデジタル化が大企業ほど進んでいない理由

みなさんご存じの通り、規模が大きな企業ほど、クラウドサービスの活用が進んでいません。サービスのデジタル化が大企業ほど進んでいない理由や背景、そしてこれからの課題について。

まずは、モノをお客さんに売る側(会社)の話。社内で行っている業務全般の流れについてです。お客さんがある日突然お客さんになるわけではなく、次のようなステージを経て、お客さんになります。
『潜在顧客から見込み客の絞り込み、見込み客から新規顧客の獲得、新規顧客からずっと使ってくれる顧客』

世界で事業展開する企業のほとんどは、大規模システムを活用しながら次のような業務を回しています。

■取扱商材を知ってもらう
消費者のライフスタイルが多様化する中、ターゲット顧客へリーチするには、オーディエンス、チャネル、コンテンツを考える必要があります。
年齢、性別、住んでいるエリア、興味関心、よく見るメディア/コンテンツなどを手掛かりとしながらオーディエンス、チャネル、コンテンツを考えます(コミュニケーションプラン)。
※年齢、性別、住んでいるエリア、興味関心、よく見るメディア/コンテンツ

■試しに手に取ってもらう
『お得なキャンペーン、今なら1か月無料体験』といったキャッチコピーを駅前やスーパー、ネット広告でみかけますね。 法人向けビジネスでも、トライアル評価版といった形で、お試しキャンペーンが展開されることがあります。
※お名前、メールアドレス、電話番号、住所、部署名(法人向けの場合)、ジョブタイトル、デモ商材の希望(有無)、予算、導入時期

■おカネを払ってもらう
店頭であればキャッシュ、クレジットカード、電子マネー決済
法人取引であれば、アカウント開設の際に、銀行口座やクレジットカード番号登録があります。
※銀行口座やクレジットカード番号 (もちろん名前、メールアドレス、電話番号、住所も)

■末永く使っていただく(カスタマー・エンゲージメント)
購買後に何か不都合な点などないかどうか、コールセンター(チャット)などを通じて、お客さんとコンタクトを取ります。
※お客様番号(名前、メールアドレス、電話番号、住所、取引履歴、問い合わせ履歴などの情報が参照できる)

様々なクラウドサービスの組み合わせでオペレーション(日々の業務)を回している企業がほとんどだと思います。サービス・オペレーションが、クラウド・ベンダーに依存しているのであれば当然のことながら、外部ドメインに対するデータの出し入れがあると思います。

【参考】取り扱う情報の例

年齢、性別、住んでいるエリア、興味関心、よく見るメディア/コンテンツ、お名前、メールアドレス、電話番号、住所、部署名(法人向けの場合)、ジョブタイトル、デモ商材の希望(有無)、予算、導入時期、銀行口座やクレジットカード番号 (もちろん名前、メールアドレス、電話番号、住所も)、お客様番号(名前、メールアドレス、電話番号、住所、取引履歴、問い合わせ履歴などの情報が参照できる)。また、顧客接点の観点でいえば、ウェブ、モバイル、コールセンター、請求管理、マーケティング・営業などの部署があります。

デジタル・サービスを推進するにあたり、サービス・オペレーションの運営や変更管理の面で、苦しい思いをしている経営者も多いのではないでしょうか。自社からは見えないところ(外部ドメイン)で、サービス・オペレーションが回っているため、責任の所在や潜在リスクもぼやけてしまうのかもしれません。

デジタル・サービスのビジネスインフラ(実行環境)についてはどうでしょう。通信回線、ユーザー認証、ネットワーク制御、サーバー(web, App, OS, DB)、トークン、暗号化などの技術要素の集合体がシステムなのですが、それぞれの技術要素が目まぐるしく変化しているため、統合管理が非常に難しくなっています。通信回線、ユーザー認証、ネットワーク制御、サーバー(web, App, OS, DB)、トークン、暗号化といっただけでも6分野あり、各分野の各技術要素で、セキュリティ対策用のパッチがリリースされ続けているのが現状となっています。サーバーなんて100台、1000台といった単位で企業はシステム運営しているのです。

【参考】セキュリティの専門家が足りない
欧米では近年、国や企業に対するミステリアスなサイバー攻撃がいくつも確認されている。首都圏で一斉に停電になったり、ATMがある日突然使えなくなったり、コンテナ船を運航する会社の本社システムが止まったり。。。日本でも、影を潜めている何者か、侵入しているのかもしれませんね。

Data center facility, security guard, backup location, CCTV, alarm, user authentication / password lifecycle / multifactor authentication / device & traffic control (IP, MAC, Port) / API tokens / site-to-site VPN / encryption & Hash algorithm (in-transit & at-rest) / Wed Apps Security, Intrusion detection (signature, anomaly, behavior) / log file (storage)

以上が、デジタルサービスの舞台裏の話。演劇にたとえて言うなら、舞台を見る側の話でもなく、舞台上で演技をする側の話でもなく、舞台の仕組みの話です。

サービスのデジタル化が大企業ほど進んでいない理由や背景としては、会社を構成する個々のチーム規模が大きいこと、顧客接点がオンラインと対面オフラインに分かれていること、エンタープライズ・システムの構成要素が細分化(担当者の専門職化)していることなどが挙げられます。こんな時代の経営者はおそらく、神経をすり減らしながら、毎日がサバイバル生活なのかもしれません。